『すべからく』の意味と語源。「すべて」って意味じゃないよ!よくある誤用の一つ!
誤用されることで有名なのは知ってるけど、
正しい意味は?となると、実はふわっとしちゃう言葉シリーズ
今回は「すべからく」
「バレー選手はすべからく身長が高い」
のように、「皆」「すべて」といった意味で使ってしまいがちな「すべからく」だが、
これは誤用。
誤用、らしいのは、知ってる、けど……。
じゃあ正しい用法って何だっけ……?
と、いうわけで、
ちゃんと調べてみた。
言葉の意味
まず意味を確認。
すべからく【須らく】
(副)[漢文訓読に由来する語。多く「-…べし」の形で]ぜひとも(次の事をすべきだ)。「青年はー勉学に励むべし」
『新明解国語辞典 第七版』(三省堂)より引用
ふむふむ。
すべき、という意味だったわけか。
「すべからく」の”すべ”は「すべて」の”すべ”じゃなく、「すべき」の”すべ”だったわけね。
漢字だと、須らく、と。
語源
続いて、語源も調べてみた。
当然なすべきこととして。スベシ(サ変動詞「為」+助動詞ベシ)がク語法によってスベカラクとなったもの。ク語法である以上、本来は「為べきこと」という意味の名詞句であるが、それが副詞的に用いられて、先のような意味になった。漢文訓読で「須・応」を「スベカラク~ベシ」と再読したのがはじまり。『徒然草』(一四世紀初)に「徳をつかんと思はば、すべからく、まづその心づかひを修行すべし」の例がある。
『暮らしのことば新語源辞典』(講談社)より引用
ふむふむ。
「~すべきである」と言う所を、「すべからく~べし」と変化させて使う、と。
ク語法によって言い方が変わったものであったとのこと。
言う⇒言わく(曰く)、とか、願う⇒願わく、とか、そういうやつね。
「すべからく」は漢字で「須らく」と書くので、必須の須と覚えれば、正しい意味も覚えやすいかも。
正しい使い方
「~すべきである」と言う所を、「すべからく~べし」と変化させて使うので、
例えば
「痩せたかったら、適度な運動をすべきである」
↓
「痩せたかったら、すべからく適度な運動をすべし」
といった感じ。
新明解国語辞典に載っていた通り、「~べし」で締めるのは、あくまでそう使うことが多い、ということで絶対のルールではない。
とは言え、「~べし」で締めるのが使いやすいかな。
「すべて」の意味なら「あまねく」
さて。正しい意味は確認できましたけど、
じゃあ。
誤った意味である「すべて」について、「すべからく」の代わりに何か気の利いた言い方はないのか?というと
色々あるかもですが、私的には「あまねく」が良いと思います。
漢字で書くと「普く」もしくは「遍く」。
誤った「すべからく」の使い方例:「バレー選手はすべからく身長が高い」
「あまねく」に言い換えると:「バレー選手はあまねく身長が高い」
誤用なんてのは大概「なんか気の利いた言い方をしたい」という所から始まりますからね。
正しい意味を確認するのはもちろん大事ですが、代わりの言葉を用意するのも大事な事だと思います。
というわけで、「すべて」という意味で「すべからく」と言いたい場面では、「あまねく」を使うと良いでしょう。
まとめ
「すべからく」は、必須の須で「須らく」!
「すべて」ではなく「すべき」「~すべきである」の意!
「すべて」と言いたいなら「あまねく」がおススメ!
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