『すべからく』の意味と語源。「すべて」って意味じゃないよ!よくある誤用の一つ!

2019年11月26日

誤用されることで有名なのは知ってるけど、

正しい意味は?となると、実はふわっとしちゃう言葉シリーズ

今回は「すべからく」

 

「バレー選手はすべからく身長が高い」

のように、「皆」「すべて」といった意味で使ってしまいがちな「すべからく」だが、

これは誤用。

誤用、らしいのは、知ってる、けど……。

じゃあ正しい用法って何だっけ……?

 

と、いうわけで、

ちゃんと調べてみた。

言葉の意味

まず意味を確認。

すべからく【須らく】

(副)[漢文訓読に由来する語。多く「-…べし」の形で]ぜひとも(次の事をすべきだ)。「青年はー勉学に励むべし」

『新明解国語辞典 第七版』(三省堂)より引用

ふむふむ。

すべき、という意味だったわけか。

「すべからく」の”すべ”は「すべて」の”すべ”じゃなく、「すべき」の”すべ”だったわけね。

漢字だと、須らく、と。

 

語源

続いて、語源も調べてみた。

当然なすべきこととして。スベシ(サ変動詞「為」+助動詞ベシ)がク語法によってスベカラクとなったもの。ク語法である以上、本来は「為べきこと」という意味の名詞句であるが、それが副詞的に用いられて、先のような意味になった。漢文訓読で「須・応」を「スベカラク~ベシ」と再読したのがはじまり。『徒然草』(一四世紀初)に「徳をつかんと思はば、すべからく、まづその心づかひを修行すべし」の例がある。

『暮らしのことば新語源辞典』(講談社)より引用

ふむふむ。

「~すべきである」と言う所を、「すべからく~べし」と変化させて使う、と。

ク語法によって言い方が変わったものであったとのこと。

言う⇒言わく(曰く)、とか、願う⇒願わく、とか、そういうやつね。

 

「すべからく」は漢字で「須らく」と書くので、必須の須と覚えれば、正しい意味も覚えやすいかも。

 

正しい使い方

「~すべきである」と言う所を、「すべからく~べし」と変化させて使うので、

例えば

「痩せたかったら、適度な運動をすべきである」

「痩せたかったら、すべからく適度な運動をすべし」

といった感じ。

 

新明解国語辞典に載っていた通り、「~べし」で締めるのは、あくまでそう使うことが多い、ということで絶対のルールではない。

とは言え、「~べし」で締めるのが使いやすいかな。

 

「すべて」の意味なら「あまねく」

さて。正しい意味は確認できましたけど、

じゃあ。

誤った意味である「すべて」について、「すべからく」の代わりに何か気の利いた言い方はないのか?というと

色々あるかもですが、私的には「あまねく」が良いと思います。

漢字で書くと「普く」もしくは「遍く」。

 

誤った「すべからく」の使い方例:「バレー選手はすべからく身長が高い」

「あまねく」に言い換えると:「バレー選手はあまねく身長が高い」

 

誤用なんてのは大概「なんか気の利いた言い方をしたい」という所から始まりますからね。

正しい意味を確認するのはもちろん大事ですが、代わりの言葉を用意するのも大事な事だと思います。

というわけで、「すべて」という意味で「すべからく」と言いたい場面では、「あまねく」を使うと良いでしょう。

まとめ

「すべからく」は、必須の須で「須らく」!

「すべて」ではなく「すべき」「~すべきである」の意!

「すべて」と言いたいなら「あまねく」がおススメ!

 

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